こんにちは、サステナビリティ業界初心者のマーケター アミーゴです。毎日が学びの連続です。
この連載では、私が得た気づきや情報を共有し、脱炭素化への「コンパス」としてお役に立てればと思っています。
第1回目は、GHG排出量測定の意味や測定に関するよくある疑問について取り上げました。
今回は、先日営業のトーマス先輩との「排出係数」に関する会話をきっかけに、GHG排出量の測定方法と排出係数の重要性についてお話しします。
目次
イベント用のフライヤーを作成していたとき、私はトーマス先輩にこう尋ねました。
「Terrascopeの強みって何ですか?」
すると先輩は強みの一つとして、「Terrascopeのプラットフォームには、国内外のデータベースが搭載されていて、10万近くの排出係数が利用できること」を教えてくれました。
「でも、排出係数が多いと何がいいんでしょうか?」
さらに質問すると、トーマス先輩は、GHG排出量を測定する上で「実際の活動に整合する排出係数を使えるか」がいかに重要かを教えてくれました。
GHG排出量は次の式で算出できます。
排出量 = 活動量 × 排出係数
活動量とは企業活動の規模を示す数値です。例えば、電気の使用量や貨物の輸送量や距離、廃棄物の処理量、部材・原料の重量や取引金額などが活動量に当たります。
排出係数とは、活動量あたりのGHG排出量を示す数値で、「排出原単位」とも呼ばれます。「電気1kWh使用当たりのCO₂排出量」や「廃棄物の焼却1t 当たりのCO₂ 排出量」「XXという原材料1KGあたりの排出量」がその一例です。
排出量を最も正確に把握する方法は、排出原単位を直接実測する、または企業が測定した排出量に関するデータ(一次データ)を提供してもらうことです。
しかし、それはあらゆる企業活動において容易ではないため、排出原単位のデータベース(二次データ)から選択して使用するのが基本的な方法となっています。
排出原単位は、正確な排出量を把握するための重要な要素です。
例えば、環境省は約400種類の排出原単位を公開しています。
一方、Terrascopeは国内外のデータを合わせて10万近くの排出原単位を利用可能であり、圧倒的な量を誇ります。これにより、企業は実際の活動に最適なデータを選択し、測定精度を高めることができます。
出典:環境省 グリーン・バリューチェーン プラットフォーム 排出原単位データベース
例えば、コーヒー豆の排出原単位は、豆の種類や産地の条件、栽培・輸送方法によって大きく異なります。次の2つの条件を比較すると、排出量に数倍の差が生じることもあります。
・持続可能な方法(例:森林破壊が行われていない、あるいは少ない地域)で生産された豆
・従来の方法(例:森林破壊が多く、また栽培方法も化学肥料の投入量も多い地域で生産された豆)で生産された豆
企業がこうした「持続可能なコーヒー豆」を調達する努力をし、その際に適切な排出原単位を選択できれば、コーヒーのGHG排出量を大幅に抑えることが可能です。
しかし、「取り扱っているコーヒー豆にぴったり合う排出原単位が見つからない」というケースもあるでしょう。さらには、「コーヒー豆の排出原単位がないので豆類の排出原単位で代用しよう」となってしまうと、排出量測定の精度が低下し、実際の環境負荷を過小評価、場合によっては過大評価してしまう可能性があります。
排出原単位を細かく分類・整理しているデータベースがあれば、より実情に近い数値を測定でき、企業は信頼できるデータに基づいて脱炭素化の施策を練ることができます。
顧客事例:Terrascopeの豊富な排出係数データを活用—三菱食品がスコープ3を可視化
GHG排出量の測定がゴールではなく、測定結果を活かして具体的な削減行動を起こすことが大切です。しかし、多くの企業では「とりあえず測定してみた」という段階にとどまり、その後の活用や削減アクションに結びついていないのが現状です。
この連載では、引き続き、GHG排出量の測定から削減行動へのつなぎ方や、脱炭素化に向けた具体的な情報をお伝えしていきます。みなさんの取り組みの「コンパス」としてお役に立てれば幸いです。