こんにちは、Terrascopeでマーケターをしているアミーゴです。サステナビリティ業界に飛び込んでからというもの、新しい発見と学びの毎日を過ごしています。
この連載「コンパス」では、そんな私が社内で得た気づきや情報をみなさんと共有し、脱炭素化を目指す航海のお役に立てればと願っています。
コンパス #2では、排出原単位の重要性について触れ、「国内外のデータベースが搭載されているTerrascopeのプラットフォームでは、10万近くの排出係数が利用できること」が強みであることをお話しました。
今回は、この「グローバルデータ」の強みをもう一歩掘り下げていきます。
関連記事:コンパス #2:GHG排出量を正確に測定するには?「排出係数」の基本とその重要性
目次
なぜ排出係数のグローバルデータが必要なのか?
先日、営業のトーマス先輩から「国内のデータベースには海外の電力データが含まれていない」という話を聞きました。確かに、排出量を正確に算出するには、電力の排出係数が欠かせません。電力のエネルギーミックス(エネルギー生成方法)は国ごとに異なり、その違いはGHG排出量にも大きな影響を与えます。
例えば、日本では火力発電(石炭、石油、LNGなど)の割合が高く、その結果、電力の排出原単位も高い傾向にあります。環境省のデータによると、日本の平均電力排出係数は約0.438~0.441 kg-CO₂/kWhです。
出典:環境省・温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度
一方、欧州諸国では再生可能エネルギーの割合が高く、電力の排出原単位は日本よりも低い傾向があります。特にデンマークはその代表例であり、2023年のデータでは電力供給の57.6%を風力発電が占めています。さらに太陽光発電やバイオエネルギーを加えると、再生可能エネルギーが全体の80%以上を構成しています。このため、デンマークの電力排出係数は日本と比べ、大幅に低い水準です。
出典:IEA-Denmark
電力排出係数のグローバルデータの活用事例
当社のお客様はグローバル展開をされている企業が多いです。 トーマス先輩が指摘するように、企業が海外で事業展開をする際、その国のエネルギーミックスに基づいた正確な排出原単位が必要です。 Terrascopeのグローバルデータベースには、さまざまな国や地域のエネルギーミックス情報が含まれており、企業が各国の実態に即したデータを使用して排出量を算出できる点が大きな強みです。
Terrascopeのグローバルデータベースを活用した顧客事例を紹介します。MCアグリアライアンスは、Terrascopeの「排出量削減シミュレーション」機能を利用することにより、原材料の調達ルートと加工方法を変更し、排出量を削減するシナリオを発見しました。シンガポールは、火力発電の中でも排出量が低い天然ガスが主流であるため、電力の排出係数が日本に比べて低いという点に着目したのです。また、それは輸送燃料のコスト削減にもつながる方法でした。
事例詳細ページ:サプライチェーン排出量の削減・脱炭素化のコンサル支援事例
このように、グローバルデータを活用することで、地域ごとの違いに基づいたより精緻な排出量算出が可能になり、各地域の特性に合った排出削減計画を立てることができます。また、海外の環境規制に対応するためにも、正確な国別の排出データが重要です。
まとめ
Terrascopeが提供するグローバルデータは、単なる情報の集積ではなく、企業のサステナビリティ戦略を支える「羅針盤」となるデータです。 日本をはじめとした火力発電が主流の国から、再生可能エネルギーが進む国まで、企業が地域ごとのエネルギーミックスに応じたデータを基にした炭素管理を行うことで、より持続可能な未来に貢献することができます。
次回は、輸送の排出係数に着目します。国内輸送だけでなく、海外輸送や海外での国内輸送に活用するグローバルデータの重要性に迫ります。 「どれだけ正確にGHG排出量を測定できているのか」といった不安に対する一助になるよう、今後も発信していきます。