世界が脱炭素化目標の達成に向けて努力する中、大企業が果たすべき役割は極めて重要です。広範なバリューチェーンを持つこれらの企業は、産業活動が温室効果ガス(GHG)排出の最大の原因であることから、炭素排出に大きく関与しています。
二酸化炭素排出量を削減するために、これらの企業は排出のホットスポットを特定し、科学的根拠に基づく排出量削減目標を設定して、その目標を達成するためにサプライチェーンのパートナーと協力する必要があります。
本記事では、大企業における脱炭素化の重要性や、Terrascope(テラスコープ)が脱炭素化における包括的な測定や削減施策をどのように支援しているかご紹介します。
なぜ脱炭素化は企業にとって重要なのか
炭素排出量を総合的に測定し、削減することによって脱炭素化に投資する企業は、低炭素経済において競争上の優位性を得ることができるのです。
- より厳格な規制:世界各国の政府がより厳しい排出規制を実施し、規制当局も企業に対してより正確な報告と開示を要求しています。2022年3月、米国証券取引委員会(SEC)は、SEC登録企業に対し、スコープ3排出量の開示と定期報告を義務付ける規則改正を提案しました。
- 意識の高まり:環境に対する責任を果たしている企業は、クライアントや顧客からの信頼と信用を得る可能性が高くなります。デロイトの欧州CFO調査で調査したCFOの50%が、脱炭素化の主な動機として、評判の向上と顧客からの信頼の獲得を挙げています。
- 投資の誘致:投資家や銀行は、投資を行う前に、企業のカーボンリスクやサステナビリティに関する実績を考慮するようになってきています。
- コストの削減:脱炭素化は、エネルギー効率の向上や消費量の削減を通じて、コスト削減につながります。デロイトの調査では、CFOの38%が脱炭素化の主な動機としてコスト削減を挙げています。
(出典:https://www2.deloitte.com)
大企業はどのように脱炭素化を進めれば良いか
産業活動は、GHG排出の最大の要因の1つであり、世界全体の24%を占めています。大企業はこれらの排出の主な原因であり、大部分はバリューチェーンにおけるパートナー、サプライヤー、顧客からもたらされます。これらはスコープ3排出量として知られています。
カーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)によると、企業の排出量のうち、農産物では90%以上、食品・飲料業界では80%がスコープ3によるものであり、金融サービス業界ではほぼ100%がスコープ3によるものであると報告されています。
(出典:CDP)
脱炭素化への道のりを歩み始めるには、企業にとって炭素排出に最も寄与している活動を特定することが重要です。GHGプロトコルでは、企業の下流活動と上流活動の両方をカバーする15のスコープ3排出量のカテゴリを設けています。スコープ3排出量に最も寄与する活動は、農業商品産業では購入商品とサービスが総排出量の63.35%を占め、資本財産業では販売した製品の使用が90%近くを占めるなど、セクターによって異なります。
このような排出のホットスポットを特定することは、バリューチェーン全体での事業の脱炭素化に向けて重要な第一歩となります。
ステップ1:正確なベースラインを設定する
脱炭素化を成功させるためには、正しいベースラインを設定することが重要です。ボストンコンサルティンググループ(BCG)の調査によると、多くの企業の間でデータの質の問題により、ベースラインの設定に30~40%の誤差を生じていることが判明しています (出典: https://www.bcg.com)。誤ったベースラインは、非現実的な削減目標や欠陥のある情報開示につながり、企業を罰金のリスクにさらすことになります。排出量、特にスコープ3排出量の測定は困難な作業であり、サプライチェーン全体から正確で標準化されたデータを得る必要があります。企業は、パートナーやサプライヤーと協力して、より質の高いデータを共有し、開示を標準化する必要があり、データ収集を統合し標準化するための技術プラットフォームの利用を検討しなければなりません。
ステップ2:排出のホットスポットを特定する
ほとんどの産業で、一部の活動が排出量の大部分を占めています。例えば、化学部門では、購入した商品やサービスのような上流の活動が排出量の44%近くを占めています。建設部門では、購入した商品やサービスが30%近くを占めていますが、販売した製品の使用といった下流の活動は49%を占めています(出典:CDP)。同様に、一部のサプライヤーや地域は、スコープ3排出量に対して他よりも大きく関与している可能性があります。
企業は、排出のホットスポットを特定し、最も良い結果が得られる可能性のある地域に削減イニシアチブを向ける必要があります。
ステップ3:科学的根拠に基づいた削減目標を設定する
科学的根拠に基づく目標イニシアティブ(SBTI)は、GHG排出量削減のための道筋を示すものです。現実的な目標を設定するためには、企業はしっかりとした測定の枠組みを持ち、シナリオとその結果を正確に分析することができなければなりません。排出量削減は、ビジネスの成長と二酸化炭素排出量の削減の両方を達成するために、複雑な分析と計算を伴う、段階的なプロセスです。
ステップ4:パートナーやサプライヤーと協力する
企業の排出量の大部分はバリューチェーンからもたらされるため、企業は脱炭素化の過程でパートナーやサプライヤーを支援する必要があります。データの収集と共有、強固な会計と情報開示の基準の採用、調達方針の再検討をパートナーに促すことは、良い出発点になりうるでしょう。
ステップ5:進捗状況を把握する
脱炭素化は数年にわたる長い道のりであり、軌道に乗るためには、進捗状況の把握が不可欠です。企業は、高度な分析および可視化ツールを備えたダッシュボードにアクセスし、排出削減対策について実用的な洞察を得ることができなければなりません。
Terrascopeが脱炭素化への道のりをサポートします
Terrascopeは、企業向けに設計された包括的でスマートな炭素測定・管理プラットフォームです。データサイエンス、機械学習、サステナビリティの専門知識を活用し、大企業の事業とサプライチェーンの脱炭素化を支援するために必要なデータ、分析、デジタルツールを提供します。
当社のプラットフォームは、農業、食品・飲料、製造業、高級品、運輸、公共部門など、さまざまな業界の企業によってグローバルに導入されています。
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