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脱炭素化

2 25, 2025

カーボンニュートラルへの企業の取り組み・Terrascopeの支援事例を紹介

気候変動対策に関する国際的な枠組みであるパリ協定は、世界的な平均気温上昇を産業革命前より2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力をすることを目標としています。そのためには、今世紀後半にカーボンニュートラルを実現することが必要です。今回は、カーボンニュートラルとは何か、世界と日本の動向、企業の取り組み事例についてご紹介します。

 


目次

  1. そもそもカーボンニュートラルとは?

  2. 世界と日本のカーボンニュートラルの動向

  3. ネットゼロとの違いは?

  4. 日本企業のSBTネットゼロの取り組み事例

  5. Terrascopeのネットゼロ支援事例

 

そもそもカーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、主に二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量(または除去量)を均衡させ、実質的なCO2排出量をゼロにすることを指します。多くの場合、カーボンニュートラルの取り組みはCO2に焦点を当てており、メタンや一酸化二窒素、フロンガスなど他の温室効果ガス(GHG)は必ずしも含まれないケースが多いです。

しかし、鋼鉄・化学など製造過程でのCO2発生が避けられない場合や、高熱利用で脱炭素化が技術的に難しい分野があり、排出量を完全にゼロにすることは現実的ではありません。排出せざるを得なかった分は吸収または除去することで、差し引きゼロを目指します。

植物は大気中のCO2を吸収して成長するため、適切な森林管理や植林によってCO2の吸収量を増やすことが可能です。また除去については、大気中のCO2を回収して貯留するネガティブエミッション技術の開発などが進められています。



世界と日本のカーボンニュートラルの動向

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2021年11月時点で世界の154カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。また、世界最大のCO2排出国である中国は、2060年までの実現を表明しています。

 

一方、日本政府は2020年10月、2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言しました。

その後、経済産業省が中心となり策定されたのが、グリーン成長戦略です。この戦略では、エネルギーや産業部門の構造転換、投資によるイノベーションなど14の重要分野に関する高い目標を設定し計画を定めています。

 

2021年には、脱炭素の取り組みを地域課題を解決する地方創生にも活かすために地域脱炭素ロードマップが策定されました。このロードマップは、2030年までに集中して行う取組や施策を中心に、地域の成長戦略につながる地域脱炭素の行程と具体策を示したものです。

2023年にはGX実現に向けた基本方針が閣議決定され、クリーンエネルギーの安定供給に向けたロードマップがまとめられました。

積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという認識のもと、日本政府は「経済と環境の好循環」を掲げさまざまな施策を打ち出しています。

参考:脱炭素を巡る世界の動向(経済産業省)

 

ネットゼロとの違いは?

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カーボンニュートラルは主としてCO2排出量に焦点を当てるケースが多いのに対し、「ネットゼロ」はスコープ1、2、3を含む全ての温室効果ガスを対象にする点でより包括的な概念があります。

また、カーボンニュートラルは、カーボンオフセットの活用などで比較的簡単に実現できる場合もありますが、一方のネットゼロはまず直接的な排出量削減を優先する点にも差異があります。

脱炭素化を支援し、国内外で多くの実績を持つ「Terrascope(テラスコープ)」のソフトウェアは、主に企業のネットゼロの取り組みをサポートしています。

関連:ネットゼロとは?Terrascopeのソフトウェア機能や有力企業の取組み事例を解説

 

日本企業のSBTネットゼロの取り組み事例

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企業が設定する温室効果ガス排出削減目標の指標のひとつが、国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)です。日本企業としては、2025年2月時点で約1,500社がSBT認定を受けています。

なかでもネットゼロに向けた排出量削減について評価する基準が、SBTネットゼロ基準です。
このSBTネットゼロ基準の排出量削減目標を設定し、SBT認証を受けている企業の取り組み事例をご紹介します。

株式会社資生堂

資生堂は、2050年のカーボンニュートラル実現を目標に掲げ、スコープ1・スコープ2排出量については2026年までに差し引きゼロにすることを目標として設定しました。

自社における排出量を削減する具体策は、省エネとエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用です。工場だけでなくオフィスや事業所でも再生可能エネルギーへの切り替えを進めています。

バリューチェーン(スコープ 3)における取り組みは、環境負荷の軽減に対応した原材料の選定と輸送時の排出量削減です。パーム油・紙の調達においては、森林破壊に関与しない原材料の調達を行い、容器はリサイクル樹脂の採用を推進しています。

また、輸送についてはEVトラックの導入と今後の利用拡大の計画をし、輸送ルートの最適化や積載効率の改善を図るため、日本国内では他企業との共同配送を行っています。

参考:地球環境の負荷軽減(資生堂)


三菱地所

三菱地所は、2030年度までにスコープ1・2排出量を70%以上、スコープ3を50%以上削減し、 2050年までにネットゼロを達成することを目標としています。

スコープ1排出量の削減のための取り組みは、カーボンニュートラルガスの活用です。丸の内エリアの地域冷暖房プラントで使⽤する都市ガスの全量をカーボンニュートラルガスに切り替えることで、都市ガス由来のCO2を実質ゼロとすることを進めています。

スコープ2排出量については、保有する物件における再生可能エネルギー導入です。また、開発物件の環境性能とエネルギー効率を向上させ、ZEB・ZEH認証の取得を目指すとしています。 

スコープ3の削減については、開発・建設工事におけるサプライチェーン全体で取り組むべき分野であり、設計会社、建設会社、建材メーカーなどと連携した施策を進めています。

また、販売不動産については、再生可能エネルギーの導入、高効率設備導入などによる排出原単位の低減に努めることで総量削減を図るとしています。 

参考:三菱地所グループ温室効果ガス中長期排出削減目標(SBTi認定)


ソニーグループ

ソニーグループでは、環境中期目標を5年ごとに設定しながら、2050年に環境負荷ゼロを目指しています。CO2排出についての目標は、スコープ1・2は2030年、スコープ3を含むバリューチェーン全体では2040年とするなど野心的です。

使用するエネルギーについては、徹底した省エネを進めるほか、2030年までにグループ全体の使用電力の全てを再生エネルギーでまかなうことを目指しています。

スコープ3排出量の大半を占めるのが製品使用時の排出であるため、重点をおいているのが製品使用時の省エネ化です。さらに、製品への投入資源を最小化し、製品および包装材にかかわるプラスチック使用量の削減を積極的に進めるとしています。

最終的に削減が困難なGHGについては、炭素除去などで相殺する方法も検討されています。

参考:サステナビリティレポート 2024(ソニーグループ)

株式会社丸井グループ

丸井グループは、2050年のカーボンニュートラルを長期目標とし、気候変動に関する移行計画を公表しました。丸井グループが自社で排出するCO2の約8割は、電力使用によるものです。

照明や空調の高効率化、店舗をあげて節電に取り組むほか、再生可能エネルギーの調達について2030年度に100%とすることを目標としています。

商業施設のテナントについて、環境に配慮した商品・サービスを提供する事業者を積極的に誘致していく店舗戦略を掲げています。

また、飲食テナントの使用済み食用油をバイオ燃料の原料としてリサイクルし、配送トラックの燃料として使用するなど、サーキュラーエコノミーの実現にも積極的です。

さらに、渋谷マルイについては、構造の約60%に木材を使用した日本初のサステナブルな木造商業施設に改築されることになっています。従来の鉄骨造での建替時と比較して、約2千トンのCO2排出量を削減できる見込みを立てています。

参考:「SBT イニシアティブ」の“ネットゼロ認定”を取得(丸井グループ)

 

Terrascopeのネットゼロの取組み支援事例

Terrascopeは、CO2などのGHG排出量の計測と削減を支援するSaaSプラットフォームのシステムを提供することを通じ、これまでに国内外の様々な企業のネットゼロへ向けた取組みを支援してきました。ここではTerrascopeを活用した企業の取り組み事例の一部をご紹介します。


約25%のサプライチェーン排出量の削減事例|MCアグリアライアンス

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日本への食品類の輸入販売の事業を展開する、三菱商事とOlamの合弁会社であるMCアグリアライアンスは、Terrascopeのシステムとコンサルティングによる、「排出量削減シミュレーション」を活用し、サプライチェーン全体での排出量削減のシナリオ特定に取組みました。この取組みから最大25%の削減ポテンシャルを明らかにし、持続可能性と事業効率を向上させ、排出量削減だけでなく、コスト削減や運営リスクの低減の効果にも繋がっています。

同社の排出量の大部分はサプライチェーン上流で発生しており、加工場所や輸送ルートの影響が不明瞭であるため、データの不足と信頼性の欠如が、正確な分析と排出量削減に向けた効率的な行動の妨げとなっていました。

Terrascopeを導入することで、スコープ3排出量を細かく算出することが可能となり、シミュレーション機能で加工・輸送の最適化シナリオを分析し、排出量の削減策を特定することに至りました。これにより、削減目標に向けた具体的なロードマップが構築され、反復可能で洗練された排出量測定および報告プロセスを確立しました。

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Terrascopeの事例詳細ページ:サプライチェーン排出量の削減・脱炭素化のコンサル支援事例

AIを活用した排出要因の分析・削減事例|Greenfields

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インドネシアの乳製品大手Greenfieldsは、脱炭素化・サステナビリティの課題に積極的に取り組んでいます。競合他社とのベンチマーク、ホットスポットの特定、排出量削減のシミュレーション、コスト便益分析などに必要なものがスコープ3排出量のベースラインであることを認識し、それらの分析機能と企業の支援事例が豊富なTerrascopeを採用しました。

Terrascopeを活用することで、メタン排出を含むスコープ1、2、3の排出量に対応する包括的なベースラインを確立し、乳製品の生産における各段階の主要な排出要因の特定といった分析を可能としました。

調達、腸内発酵によるメタン排出、糞尿管理、輸送・流通までのプロセスにおける排出量削減方法をモデル化し、代替調達によって牛飼料の排出量を50%以上削減できる施策の可能性など、効果的な削減機会の発見に繋げています。

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TerrascopeのAIを活用したデータ管理や自動分類機能により、精度の高い分析が可能になり、コスト削減と排出量削減の両立が実現可能となっています。

Terrascopeの事例詳細ページ:Greenfields - 乳製品バリューチェーンにおける排出量計測と削減事例

Terrascopeは、二酸化炭素などの排出量の計測や削減施策などのプロセスをサポートする機能と、サステナビリティ専門家やカーボンデータ分析家のコンサルティングを提供し、ネットゼロを支援しています。

  • AIを活用したデータ管理
  • CO2排出量などの測定計算と分析
  • 削減計画・目標設定シミュレーション
  • 削減施策のモニタリング・レポートの簡素化

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