提供サービス
企業カーボンフットプリント(CCF)
業界
食品商社、卸売、流通
本社所在地
日本、東京
会社規模
従業員規模 5,000人以上
- スコープ1、2、3の包括的な排出量測定
- 財務情報、非財務情報の一つとしてスコープ3排出量を公開
- 24万以上のSKUに対する排出量測定を可能にしたスケーラブルなデータ管理プラットフォームの導入
三菱食品について
三菱食品は、加工食品・低温食品・酒類・菓子等を取り扱う総合食品商社です。食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献することをパーパスに掲げ、様々な事業環境の変化に対応しながら、サステナブルな食のライフラインとしての役割を追求しています。
三菱食品では、持続可能な社会を実現するためサステナビリティ重点課題と併せて2030年目標を設定し、2050年カーボンニュートラルの実現に向けCO2削減に取り組んでいます。これまでもスコープ1とスコープ2を自主的に把握し、積極的に統合報告書等で実績及び削減目標への進捗を開示しています。気候変動に伴う将来的なリスクに「炭素価格の導入」が、食のサプライチェーンへ大きな影響をもたらすとの分析から、早期にスコープ3の可視化へ着手することで、持続可能なサプライチェーンの構築に貢献できると考え、2023年度内に情報開示することを目指しTerrascope社と共にスコープ3の把握を実施してきました。
課題
三菱食品が直面した主な課題は、スコープ3排出量の正確な算出に必要な膨大な業務データを収集することでした。これらのデータは、同社内および数千のサプライヤー、製造業者、小売業者に散在しており、データ量も膨大となることが想定されました。例えば、三菱食品の受発注管理単位となるSKUは24万を超えており、それぞれのSKUに対して製造方法、保管方法、輸送方法など異なるメタデータを持っています。これだけのデータを手作業で処理し、公開開示に必要なトレーサビリティを確保することは困難でした。
Terrascopeのソリューション
Terrascopeとの連携により、三菱食品は膨大なデータの分類、計測を行うことができました。この取り組みによる成果を2点ご紹介します。
01.
データによる排出量の可視化プロセス
膨大なSKUデータを処理するため、TerrascopeのプラットフォームはAIを活用して、24万を超えるSKUを類似した製品カテゴリの約2000に自動的に分類しました。この分類には、原材料、製造プロセス、パッケージング、保管方法などの要素が含まれています。これにより、三菱食品ははじめての排出量ベースラインを算出し、すべてのサプライチェーンにわたる重要なホットスポットを特定することができました。
(1) 三菱食品の企業カーボンフットプリントの約99%がスコープ3排出量
(2) スコープ3排出量の80%以上は、カテゴリ3.1(購入した製品とサービス)に由来
(3) 商品カテゴリ別では、冷凍食品とアルコール飲料に関するCO2排出量が最も多い
(4) その他の注目すべきホットスポットは、「輸送・配送(上流)」と「販売した製品と容器包装の廃棄と処理」
サプライチェーンのホットスポットを特定できた三菱食品は、データ収集の焦点を冷凍食品とアルコール飲料カテゴリーにおき、より詳細かつサプライヤー固有のデータ収集に投資しました。このようにして、完璧なデータがないことがスコープ3への取り組みを妨げないよう、現実的な進展を遂げました。
02.
サプライヤーからの一次データの取り込み
Terrascopeの機能活用により、三菱食品は企業レベルでのスコープ3排出量の可視化だけでなく、商品カテゴリレベルのホットスポットの特定を行うことができました。このプラットフォームのデータ管理力、データ取り込み、分類の自動化、さらには今回の計測でテンプレートやノウハウが蓄積されたことにより、今後の測定では人員、時間が大幅に削減でき、さらに踏み込んだ計測が実施できると期待されています。三菱食品は、一次データへの切り替えなどを進め、より詳細な分析手法に基づくデータを開示することでさらなるESGの価値訴求を目指す予定です。