提供サービス
企業カーボンフットプリント(CCF)
製品カーボンフットプリント(CFP)
業界
農産物、食料原料
本社所在地
シンガポール
会社規模
世界約60ヶ国で販売
従業員規模 100~500人
- 包括的なスコープ1、2、および3のGHG排出量の測定
- 調達、加工、輸送に関する脱炭素化の取り組みをシミュレーションするため、Terrascopeのサステナビリティエキスパートとの協業
- 4,980SKU(ポッカが製造していない完成品を含む)のCFPをサプライヤーデータが不足している状況でも算出
ポッカについて
シンガポールとアジア太平洋において大手飲料食品会社であるポッカは、イノベーションとサステナビリティに対し継続的に注力していることで知られています。
サステナブルな取り組みの一環として、同社は最近、サステナブルを推進するために新たな組織を発足し、建物、製造施設、部品、流通、物流、新しい加工方法とビン容器原料に最先端の技術を使い、改善に取り組んでいます。
同社は従来より、より良い原料調達の為にCO2の測定と削減に取り組んでいました。ポッカでは、会社全体における「スコープ3」測定システムを導入することで、自社のサプライチェーン、特にパッケージングからの影響をより深く理解したいと考えていました。同社は先行してサステナビリティに取り組む大手飲料会社として、他社との差別化を図ることの重要性を理解しており、将来のサステナビリティに配慮した消費者のニーズに更に応えていけるよう備えていきたいと考えていました。
課題
同社が直面した課題の 1 つは、自社のカーボンフットプリントを包括的に理解することでした。同社はこれまでスコ ープ1とスコープ2の排出量の測定を実施してきたものの、スコープ3を含めた全体の排出量は把握していませんでした。
企業の排出量の85% 以上を占める「スコープ3排出量」は主にサプライチェーン内の間接的な排出によるものであり、その複雑なオペレーションやサプライチェーン、またデータの不足から、これを概算するのは非常に困難でした。さらに、「スコープ3排出量」を概算するためには、複数の設備やさまざまなソースからデータを収集し分析する必要があります。
同社はまた、複数の種類の製品を流通している事による、サプライチェーン特有の課題に直面していました。同社が 流通している製品の種類は以下の通りです。
- 同社が全製造工程を担っている製品
- 同社が原料を輸入し、製造のためにOEM先へ輸出している製品
- 同社が最終製品を輸入して、そのまま流通させている製品
サプライヤーからの製品に関する排出係数データが不足していたため、同社は排出量を正確に計算するために、 製品を原材料と製造プロセスに分解し、計測する必要がありました。
(関連ページ:カーボンフットプリントとは?計算方法・必要性・企業事例)
Terrascopeのソリューション
ポッカは、自社のCO2を測定・マネージするプラットフォームとしてTerrascope(テラスコープ)を採用し、Terrascopeは同社がCO2排出量を測定、管理、最適化するための計画を策定しました。
01.
データ管理
複数の施設からさまざまな 形式で提供されるデータは非常に複雑であったため、Terrascopeは標準化されたデータ収集、取り込み、統合プロセスを構築しました。サプライヤー側よりデータを集め、データの誤りの特定やデータが不足している箇所はTerrascope独自の機械学習機能を利用して補完しました。
3週間ほどの内にデータの取り込みが完了し、同社が行っていた通常の手動によるプロセスよりも約5倍速く、拡張性があり、簡単に繰り返し使う事が出来るTerrascopeプラットフォームの利用を開始しました。
02.
製品カーボンフットプリント(CFP)の取り組み
ポッカならではの直面した課題は、自社製造以外の製品の排出量の算定でした。同社が輸入して流通させた最終製品や第三者の製造のために輸出入された原材料などです。これらは製品レベル、またはSKUレベルの排出量データが不足していた事により、スコープ3排出量の全体像を把握することが困難でした。
そこで Terrascope は、各SKUの製品単位のCO2排出量を明らかにするために、Cradle to Gate(原材料から出荷まで)の排出量を計算しました。Terrascope のマシンラーニング(機械学習アルゴリズム)を使用して製品やパッケージの構成要素を分解し、各構成要素を最も関連性の高い排出係数と一致させるという方法です。
実際のサプライヤーデータ*と 比較したところ、1製品あたりの上流側での工程における排出量を92% 以上の精度で推定し、4,980SKU の排出量を算出することができました。
同社はTerrascopeの製品カーボンフットプリントの測定を通じて、自社のサプライチェーンとその排出要因の全体像を理解することができました。また同社は、サプライヤーから排出量の詳細データを受け取っていなくても、各製品のCO2排出量を正確に測定することを実現しました。
* 加工食品業界の約700 SKU のサンプルデータを使用したテストに基づいています。
03.
インパクトのある脱炭素化プログラムの構築
スコープ3のベースラインを算出できたことにより、ポッカは初めてサプライチェーンの排出量を分析し、最も影響のあるホットスポットを把握することができました。
ポッカが購入し、最終製品として流通させた製品においては、製品自体ではなく包装からの排出量が最も多いことが判明しました。(例:缶の シュリンクラップ(包装用プラスチックフィルム)など)Terrascope は、より少ないCO2排出量でパッケージングを行うためのさまざまなシナリオ分析を提供し、同社をサポートしました。その結果、同社は排出量削減の可能性を定量化することができました。
また、ポッカが輸入し、流通する製品の一部では、排出量の大部分が特定の原材料に関連しています。興味深いことに、農園での生産によるプロセスが、排出要因の上位3つのうちの1つであることが分かりました。
農園で生じる土地利用の変化、すなわち林地を農地に転換する事により追加計上する必要がある排出量が原因です。この気づきにより、ポッカの調達チームはの調達戦略の一部を見直し、土地利用による排出量の少ない地域からの原料調達をさらに評価するようになりました。
(関連ページ:企業のCO2削減の最新取り組み事例・Terrascopeの計算・削減機能の特徴)
ポッカにもたらされた価値
業務の効率化
スケーラブルな炭素測定ソリューションにより、手動での作業より5倍の速さでデータを取り込むことができ、以前はデータ収集とレポート作成に費やされていたチームの貴重な時間とリソースを他の重要なタスクに使うことができます。 ポッカはより改善が必要な部分に集中し、サステナブルな未来に向けてより効果的で戦略的な決断を下すことができるようになりました。
脱炭素化投資の最適化
Terrascope のソリューションは、ポッカが自社のカーボンフットプリントをより広範囲で理解するだけでなく、より強固なオペレーションの構築に重要な役割を果たしました。自社のCO2排出量とサプライチェー ンをより広範囲に理解することで、同社は排出量の削減機会を見つけ、より強化なサプライチェーンを今後構築することができるようになります。