温暖化の進行に伴い近年更に重要度が増しているCO2排出量について、企業では排出量データの開示の法的義務も進み、削減への取組みが無視できない状況になっています。
この記事ではCO2排出量の計算方法や具体的な計算式の内容、それらをサポートする各種ツールや、大企業の活用実績が増加しているTerrascope(テラスコープ)のシステムによる排出量計算と削減事例についてご紹介します。
目次
2023年12月に開催されたCOP28で、2023年10月までの地球の平均気温が産業革命から1.4℃上昇し、過去最高を記録することを発表しました。
特に直近の10年間での海面上昇率は、それ以前の10年間に比べて2倍以上となり危険な状況を示しています。
地球温暖化が進む原因である温室効果ガスの約80%を占めるCO2の削減は、今後ますます重要視されてくることが予想されます。
日本国内の動向としては、政府が2030年までの温室効果ガス削減目標を2021年4月に26%から50%に引き上げています。
また日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成させるために、「地球温暖化対策推進法」(以下、温対法)を2022年に改正しました。
温対法は1998年に京都議定書を受けて成立した法律で、国や地方公共団体、企業や国民が一丸となって対策に取り組むことを定めています。
今回の温対法の法改正のポイントとして、企業に温室に排出量データの開示を要求する制度があります。
そのため今後各企業がどれだけ正確に排出量情報を公表するかが、企業の環境問題への姿勢を評価されることになります。
その他にも2023年4月には省エネ法の改正が行われ、その中で一定のエネルギー使用量がある企業(※)で以下の取り組みが義務付けられました。
※原油換算で1,500kl/年を超える企業、鉄道300両、トラック200台、バス200台、タクシー350台、船舶2万総トン(総船腹量)、航空9,000トン(総最大離陸重量)の輸送能力を有する運送事業者
このように企業によるCO2排出量の開示要求は日に日に高まってきています。
CO2排出量の計算方法は大きく2つの方法があり、それぞれカーボンフットプリント」と「サプライチェーン排出量」が該当します。
カーボンフットプリントは企業が製造・販売した製品の、ライフサイクルアセスメントでCO2排出量を評価する考え方です。
製品に使われる原材料、流通方式、ユーザーが使用・廃棄する間で発生するCO2排出量を算定し、ユーザーが製品の環境性を比較することができます。
計算方法はISO規格で定められています。
さらに詳しい算出方法や実例紹介は下記のページで解説しています。
一方、サプライチェーン排出量とは企業が事業活動を行う上で発生するCO2排出量を算定します。
「GHGプロトコル」と呼ばれる国際的な規格で規定されています。
算定は自社および関係会社が排出する、スコープ1、2,3の合計CO2排出量を求めます。
SCOPE1(スコープ1) |
企業の工場や事業所の活動のため、都市ガスなどの燃料を燃やして発生する温室効果ガス。重油やガソリン、メタンガスなどが排出源となる。 |
SCOPE2(スコープ2) | 企業が購入した電気や蒸気、熱を生成するために発生した温室効果ガス。例えば電気の場合、火力発電所で燃やした化石燃料が排出源となる。 |
SCOPE3(スコープ3) | 企業の活動で発生する、すべての温室効果ガスからSCOPE1,2を除外した排出量。取引先の輸送会社や販売店、原材料メーカーで排出された温室効果ガスが対象となる。 |
さらに詳しい算出方法や実例紹介は下記のページで解説しています。
サプライチェーン排出量とは?算定方法や義務化の流れ・Terrascopeの取組み事例
CO2排出量の具体的な計算式は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)で以下の通り定められています。
CO2排出量 = 活動量 × 排出係数 × 地球温暖化係数
活動量は事業活動において使用したエネルギー量や、生産数が用いられます。
例えば製品の輸送カテゴリーで発生したCO2量の活動量は使用燃料量や、輸送距離と燃費が当てはまります。
排出係数はCO2排出量を販売電力量で割った数値で、電力量1kWhあたりのCO2排出量を示しています。
発電方法によって数値が異なるため、多くの場合はデータベースを利用します。
地球温暖化係数はCO2やメタンガスなどの種類によって、どの程度地球を温暖化するのかを表した係数です。
上記のほかに簡易的にCO2排出量を求める計算式を紹介します。
CO2排出量 = 活動量 × 排出原単位
「排出原単位」とは各活動の単位当たりのCO2排出量のことです。
エネルギーであれば電力やガソリン、軽油など種別ごとにCO2排出原単位がデータベース化されています。
データベースには環境負荷原単位データブック、IDEA、JLCAデータベースなどがあります。
ただしこれらのデータベースを利用する場合、CO2排出量の算出精度が実測値に比べて劣るデメリットがあります。
例えば社内でエネルギー効率を改善した取り組みがあっても、実測値を使用しない場合は効果が織り込まれなくなってしまいます。
CO2排出量計算にかかる手間を削減する方法として、簡易サイトや無料ツールを使用する方法があります。
例えば経済産業省が公開しているエクセルテンプレートの場合、ダウンロードして必要項目を入力することで自動的に算定することができます。
利用マニュアルを参考にして、自社の電気・都市ガス使用量や排出係数などを入力すればCO2排出量を求められます。
(エクセルツール)エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール(ダウンロードリンク)
(利用マニュアル)エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツールの利用マニュアル
その他には全日本トラック協会が提供している、トラック運送事業者に特化したサイトがあります。
フローチャート形式で自社に適した算定方法を選ぶことができて、該当する入力用のエクセルテンプレートと記載例をダウンロードすることができます。
海外輸送に携わる事業については、日本通運が提供する「海外輸送CO2計算ツール」があります。
輸送元と輸送先、輸送量を指定するとCO2排出量が計算される機能を持っています。
輸送手段は船・飛行機・鉄道・自動車などを選択できて、CO2排出量が少ない輸送方法をシミュレーションすることも可能です。
海外輸送 CO2計算ツール(NX-GREEN Calculator)
ここで紹介した簡易サイトやツールなどを利用すれば従来に比べて手間の削減につながる可能性があります。
しかし依然として入力にかかる労力や、担当者に判断を依存している点などに問題が残ります。
また、排出量データをもとに分析・削減計画立案する機能は無いため、効果的な削減案作成や進捗管理などでさらに厳しいハードルが残ってしまいます。
簡易サイトや無料ツール以外の選択肢として、外部専門機関が提供する分析システム・ソフトウェアを利用する方法がありますが、世界的に企業に利用されている「Terrascope(テラスコープ)」は、既に日本の大企業でも活用実績がある脱炭素化のシステムです。
無料ツールに比べて大幅な工数削減ができ高精度の算定結果が得られ、更に、削減計画のアドバイスやAIを活用したシミュレーション機能を活用できるなどの大きな付加価値と効果が実証されています。
Terrascopeは複雑なサプライチェーン排出量のデータ統合を従来の5倍の速度で処理が可能となった実績もあり、最新のデータプロファイリング機能で収集したデータの妥当性や精度を評価されています。
算定したスコープ1、2、3の排出量から国、事業単位、工場、プロセスごとの排出量に仕分けして効果的な削減計画を作成、進捗管理まで一貫した管理が行えます。
実際にTerrascopeを導入した企業は多くの成果を得ることに成功しています。
例えば三菱商事アグリアライアンスでは、Terrascopeを利用して原材料の輸送経路を変更することで25%の排出量削減が可能であることが分かりました。(事例ページ)
その他には有名飲料メーカーのポッカでは、収集困難なサプライヤー排出量データを未取得のまま92%という高精度の算定を達成しました。その背景にはTerrascopeのデータプロファイリング機能が存在しています。(事例ページ)
このように複雑なサプライチェーンや、海外での事業展開などで算定が困難な企業で大きな効果を発揮している実績があります。
また、日本国内企業やTerrascopeを活用するグローバル企業のCO2削減の事例については下記ページもご確認ください。
(関連ページ:企業のCO2削減の最新取り組み事例・Terrascopeの計算・削減機能の特徴)
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